ディック・ハマーよりAIZENへのコメント

どのようにして新しい、良いマウスピースを選ぶかは知ってるよね。でも多くの場合、最初の反応は、「ワオ、これだよこれ!これが僕の求めていたマウスピースだよ。」、だよね。でもほとんどの場合、数週間後には元の古いマウスピースでプレイしてるんだ。まるで新婚旅行が終わった後のカップルみたいにね。しかしぼくがAIZENテナーマウスピース(7*)に会ったときには、まったく反対のことが起こったんだ。

ぼくのこのマウスピースに対する第一印象はややネガティブだった。少しダーク過ぎて抵抗感が強いように感じた。ま、リードの鳴りは申し分ないと感じたけどね。 そしてぼくは毎日こいつを少しづつプレイし続けて、だんだんそのダークな音が好きになってきた。そしてやや柔らかめのリードが合うんじゃないかと試してみた。そしたら、もう…。そう、まさに突然気づいたんだ。音のダークな芯はそのままで、すばらしくクリアなフォーカスが加わっていて、豊かな膨らみを持ったサウンドが実現されている。

その後二つのビッグバンドのライブ、クインテット、BBCウェールズ放送の録音等、数多くの仕事でこのAIZEN7*を使ったけど、もう満点の満足感だったね。ぼくはヴィンテージのリンク・スラントは持っていたことはないんだけれど、こいつは少なくとも僕にはどんぴしゃだった。多用途に使えるマウスピースとして、AIZENマウスピースは今までで最高のマウスピースだね。慣れてきた今では、より腰のある昔のリードに戻したけれど、コントロールもし易いし音も太くて、とっても良い感じに吹けてるよ。リードとマウスピースのバランスが上手くマッチしてる感じだね。

テナーの場合とは対照的に、AIZENアルトマウスピースの場合は、ぼくはほぼ直感的に惚れ込んでしまった。 このマウスピースはヴィンテージのニューヨーク・メイヤーの特徴を再現したもので、上質のメイヤー・マウスピースがそうであるように、柔らかめのリードにも良くマッチする。でもメイヤーよりはっきりしたエッジがあり、フラジオも難無く出すことができる。ジャズのリードアルト等だけでなく、フュージョンやポップスにも使えるマウスピースだね。ミュージカルシアターのオーケストラ・ピットでの演奏に、もうすでに一週間以上使用しているけど、本当に快適で文句なしだね。熱々の新婚旅行は終わったはずなのに、まだ愛は健在さ!(笑)。有名なマウスピース職人にカスタマイズしてもらったマイヤーを2本持っているんだけど、このAIZENが今の僕にはベストだね。



ディック・ハマー 経歴

イギリス南部ウェールズのフリーランス・サックスプレーヤー/教師。さまざまな分野で演奏をおこない、ここ数年間は、スタン・トレーシー(Stan Tracey)、ピーター・キング(Peter King)、ボビー・シュー(Bobby Shew)、スコット・ハミルトン(Scott Hamilton)、ローレン・スコーバーグ(Loren Schoenberg)、ルー・タバキン(Lew Tabackin)、ダスコ・ゴイコビック(Dusko Goykovic)、アラン・バーンズ(Alan Barnes)、スティーブ・ウォーターマン(Steve Waterman)等の大物ミュージシャンらとの競演もおこなっています。教員としてのキャリアでも高い実績があり、彼のかつての教え子のひとりである、オジアン・レベルツ(Osian Roberts)は、最近シダー・ウォルトンと共にニューヨークでのアルバム制作に参加し、まもなくリリースされる予定です。

BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団の客員演奏者、劇場音楽、スタジオワーク、テレビ等、多岐に渡る場面で音楽活動をこなすと同時に、ウェールズの国立芸術学校である、王立ウェルシュ芸術大学のビッグバンドの音楽監督も担当しています。